IBM iのチーフ・アーキテクトを務めているスティーブ・ウィル氏が、「IBM i Next Gen Apps:モダナイゼーション・アプローチ」と題するブログを発表しています(4月12日付け。Tech Channelサイト)。
そのブログでは、ウィル氏がこの数年間、繰り返し発言してきたモダナイゼーションについて考えがまとめられているので、ご紹介しましょう。
まずウィル氏は、「モダナイゼーションは何年もの間、IBM i市場の最重要事項の1つでした」と記しています。そして、なぜ何年もの間、このテーマを追求してきたのか、と改めて問いを発しています。
それに対してウィル氏は、「モダナイゼーションとは終わりのない継続的な活動であり、1つの旅であるからだ」と答えています。
そして、次に発するべき問いは、「それをどのように進めるか」と述べています。
ウィル氏およびIBMはこの2年間、「IBM i Next Gen Apps」と呼ぶ戦略を推進してきました。「IBM iの次世代アプリケーション戦略」とでも言うべき取り組みです。
ウィル氏は今回のブログで、そのIBM i Next Gen Appsの属性について1枚の図にまとめています。おそらく本邦初公開の図です。
それによると、IBM i Next Gen Appsは次の4つの属性を備えています。
(1)ビジネスニーズに迅速に対応するために、DevOps・CI/CD・アジャイル開発などの手法・ツール・技術を活用する。
(2)ビジネス資産としてのITアセットを蓄積していくために、プロセスやデータのカプセル化を行う。具体的には、プログラムをモジュール化し、単純なSQLプログラムを作成し、それをサービスとしてラッピングする。
(3)目的のために最適な技術を選択し、それらを融合して使用する。たとえば、RPG、COBOL、SQL、C/C++、Javaなどと、JavaScriptやPHPなどのオープン言語を組み合わせを積極的に進める。
ウィル氏はここで、「融合させるのはプログラミング言語だけでなく、開発環境やデリバリーのプロセスなどでも必要。最適な技術を選択し、組み合わせて使うことが必要になる場合が多い」と記しています。
(4)目的のための最適な技術が社内にない場合は、それを積極的に取り入れていく。そのためには体制の改革やマインドセットが必要になる。
ウィル氏は、IBM iアプリケーションがこれらの属性を備えていくための基盤は、現在のIBM iにすべてそろっていることを強調しています。そして、今すぐにでもNext Gen Appsへ向けた取り組みを開始できると述べています。
しかし、これらを一挙に達成するのは容易ではないでしょう。
ウィル氏はそうした反応を見越したかのように、次のように述べています。
「IBM i Next Gen Appsの属性は、すべてを一度に達成する必要はありません。むしろ注目すべき属性を選択し、その実現へ向けて取り組むほうがよい結果を生む場合が多いのです。1つの属性に注目し追求していくうちに、他の属性も考慮することが出てきます。複数の属性を考慮することで相乗効果を見出せる可能性が高いのです」
・スティーブ・ウィル氏ブログ「IBM i Next Gen Apps: The Modernization Approach」
[iS Technoport]