IBMは11月3日、マネージドインフラストラクチャ・サービス事業を展開するキンドリルの分離を完了し、新生IBMとして新たなスタートを切りました。一方のキンドリルは翌11月4日にニューヨーク証券取引所に上場し、そちらも独立会社としての歩みを開始しました。キンドリルの売上規模は19億ドル(2兆1600億円)、社員数は9万人という超大型のスタートアップ企業となります。
新生IBMはキンドリルの分離により、社員数を35万人から26万人へ(全世界)、売上規模を74億ドルから58億ドル(6兆5800億円)へ縮小します。事業部門は、「コンサルティング」「ソフトウェア」「インフラストラクチャ」「ファイナンス」の4つに再編し、ハイブリッドクラウドとAIを軸に、製品ポートフォリオを全面的に再構成しました。
この結果、新生IBMの売上構成はコンサルティングとソフトウェアの2つの事業部門で約7割を占め、ソフトウェア&コンサルティング企業としての色合いを強めています。ただし、売上の約1/4を占めるインフラストラクチャ事業は、ハイブリッドクラウドとAIを推進するうえで欠かせない領域としており、従来以上に注力する方針を明言しています。
IBM i(IBM Power)は、インフラストラクチャ事業の「分散インフラストラクチャ(Distributed Infrastructure)」部門に含まれています。メインフレームの「IBM Z」部門がオンプレミス中心であるのに対して、IBM Powerを中軸とする分散インフラストラクチャ部門はオンプレミスにもクラウドにも展開可能な基盤であるため、ハイブリッドクラウドとAIを推進する新生IBMの戦略的部門に成長するとの見方もあります。
IBMのアービンド・クリシュナ会長兼CEOは、新生IBMのスタート初日に声明を発表し、「私たちの目標は、クローズド・システム、独自の技術、信頼性の低いAI、不十分なセキュリティといった、イノベーションを妨げる障壁を打ち壊すことです」とし、その目標を達成するため、以下を実施してきたと述べています。
● テクノロジーとビジネスの専門知識という、2つのお客様への価値に再び注力する。
● ハイブリッドクラウドとAIという現代の最も画期的な2つのテクノロジーを中心に、IBMのポートフォリオ全体を再構成する。
● 当社のエコシステムを再活性化し、IBMの強みと、ビジネスパートナーの広範なネットワークを組み合わせる。
新生IBMの今後の事業展開が注目されます。
[iS Technoport]