IBM i 7.4 TR4とIBM i 7.3 TR10のハイライト、共通要素と異なる要素

前回は、IBMが2010年から実施しているOS機能の提供形態である「テクノロジー・リフレッシュ」と「メジャー・バージョンアップ」についてご紹介しました。今回は、4月13日発表のIBM i 7.4 TR4とIBM i 7.3 TR10の内容についてご紹介します。

最初に、IBM i 7.4とIBM i 7.3のテクノロジー・リフレッシュ(以下、TR)のリリース時期を確認しておきたいと思います。

IBM i 7.3とIBM i 7.4のテクノロジー・リフレッシュのリリース時期

図表にあるように、IBM i 7.3は2016年4月にメジャー・バージョンがリリースされ、以降、ほぼ半年おきにTRが公開されています。一方IBM i 7.4は、IBM i 7.3 TR6が公開された2019年4月にメジャー・バージョンがリリースされ、以降、IBM i 7.3のTRの公開と同時にTRが公開されてきました。

この同時に発表されるTRには、OSのバージョンが異なっても共通の要素が多々あります。異なるのは、メジャー・バージョンで新規に追加された機能に関して強化・拡張・改善がある場合です。

たとえば、IBM i 7.4 TR4とIBM i 7.3 TR10では、次のような共通要素と異なる要素があります。IBMの製品発表レターの文言をそのまま引用してみます。

◎共通要素(IBM i 7.4 TR4とIBM i 7.3 TR10の両方のレターに記載されています)

・IBM Db2 for iは、データベース・エンジニアがSQL Query Engineをプログラマチックに監視できるように拡張されました。

・APIおよびCLコマンドに対するSQLによる代替であるIBM iサービスは、すべてのIBM iユーザーに対して強化された生産性および洞察を提供します。

・保存・復元は、システムがすでに制限状態にある場合にENDSBSコマンド処理を自動的にバイパスすることで時間を短縮するように機能拡張されました。

・IBM i Option 35として提供されるIBM i Common Cryptographic Architecture Cryptographic Service Provider(CCA CSP)には、IBM 4767暗号化コプロセッサ向けのCCA Release 5.6.xのサポートが含まれるようになりました。

・IBM Rational Development Studio for iは、RPGプログラミング言語向けに複数の新機能を提供します。

・IBM Backup、Recovery、and Media Services for i(BRMS)には、ユーザーからのリクエストに基づいて新機能が追加されています。

・IBM PowerHA System Mirror for iは、切り替え、自動化、および簡素化を中心とした新規の機能拡張セットを提供します。

・IBM iは、2021年4月13日に発表されているハードウェアおよびI/Oをサポートし、運用効率および構成上の柔軟性の向上を実現します。

以上は、IBM i 7.4 TR4とIBM i 7.3 TR10の両方で強化・拡張がなされています。そして下記が、IBM i 7.4 TR4のみの強化・拡張となります。

◎IBM i 7.4 TR4のみの強化・拡張

・クラスタリングは、ユーザーがクラスター資源グループの切り替えの進捗状況を表示または監視できるように拡張されました。切り替えの各ステップは、クラスター・ログ・ファイルに書き込まれます。

・IBM Db2 Mirror for iには、セキュリティ、Db2 for iのパフォーマンス向上、および新しいオブジェクトのサポートが追加されています。

◎IBM i 7.4 TR4/IBM i 7.3 TR10のハイライト

IBM i 7.4 TR4とIBM i 7.3 TR10のハイライトは、Db2 for iへの「Query Supervisor」と呼ばれる新機能の追加です。このQuery SupervisorによってユーザーはCPU使用量の閾値を設定できるようになり、クエリーの頻発によるシステムリソースの消費状況をリアルタイムで監視し、自動制御することが可能になります。CPUが閾値に達すると、Query Supervisorがプログラムに割り込んで処理を終了させ、ログなどを自動で取得できる機能です。

 

 

このほか、IBM iサービスでは、16種の新機能追加と11種の機能拡張が行われ、またIBM i Access Client Solutions(ACS)でも、SQLスクリプトの実行、スキーマ、印刷、5250エミュレータに関連する拡張が行われました

・製品発表レター「IBM i 7.4 TR4 がパフォーマンス、使いやすさ、および統合機能を拡張」

・製品発表レター「IBM i 7.3 TR10 がパフォーマンス、使いやすさ、および統合機能を拡張」

 

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