COMPANY PROFILE
設立 :1955年
本社 :東京都港区
資本金:117億5000万円
売上高:単体1819億円、連結2241億円(2020年3月期)
従業員数:単体2618名、連結9648名(2020年3月期)
https://www.edge.toppan.com/(現・TOPPANエッジ株式会社)
基幹システムをリプレースし再構築
トッパン・フォームズは、ビジネスフォームのリーディングカンパニーとして、銀行CD機の利用明細書や宅配便の送り状、クレジットカードの請求書など、多種多様な事務用帳票を提供している。
その一方、顧客データを預かり、用途に応じたビジネスフォーム向けにデータを編集・加工して、印刷から印字・封入・封緘・発送までを一貫して提供するデータ・プリント・サービス(DPS)は、企業のアウトソーシング機運をいち早く捉え、今や事業の第2の柱に成長した。
IC・RFIDのラインナップやドキュメント管理など情報を基盤とする各種ソリューションの提供なども加わり、「情報の器を取り扱う」をコンセプトに、紙と電子メディア双方を見据えた 同社のビジネスは、大きな広がりを見せている。
同社は長年にわたる汎用機のユーザーであったが、基幹業務の全面再構築プロジェクトに伴い、IBM iへ移行した。従来の基幹システムに代わる新システムは、以下の3点を狙いにしている。
(1)全製品における受注から売上請求までの全工程をシステム化、(2)新業務・新要件への柔軟な対応、(3)内部統制・IT統制への対応、である。
プロジェクトでは、汎用機上で稼働する多数のシステムをRPGで新しい要件に対応させながら新規開発し、段階的にIBM iへ移行させる。
最初のシステムが本稼働した2008年から現在までに、ビジネスフォームをはじめとする印刷製品における見積もり・製造仕様・受注の各システムおよび顧客管理システムがIBM i上へ移行した。
今後は出荷・売上・請求・入金などのシステムに着手し、最終的には同様のシステムを全アイテムに適用していく計画である。
汎用機時代の開発資源管理を
S/D Managerで再現
当然ながらこのプロジェクトでは、多数のプログラム開発が進行している。開発がスタートしてからしばらくは、コマンドを組み合わせ、手作業で本番区画へリリースしていた。しかし手作業であるため、どうしても非効率さが目につく。
汎用機時代はプログラムの自動配布に加え、こうした開発資源を管理するツールを内製し、利用していた。
「そこでIBM i上でも同種のツールを社内で作成しようと考えましたが、開発に要する工数を考えると、サードベンダー製品を導入する方が効率的であると判断しました」と語るのは、情報システム本部技術部運用グループの上岡正明主任である。
上岡 正明氏
情報システム本部
技術部 運用グループ
主任
ツールを検討した2008年当時、要件に合致する数少ない製品として「S/D Manager」(アイエステクノポート)に着目し、導入を決定した。
同社では、大型の新規システムの本稼働が年に数件、小さなプログラム作成やメンテナンスのリリースが月に10件程度発生する。
こうした大型新規開発と日常運用の双方で、プログラムの自動配布や本番ソースの一元管理、そして開発・修正のリクエストに伴う申請・承認・テスト・本番リリースの承認ワークフローに、S/D Managerを利用している。
S/D Managerの運用担当者は上岡氏を含む2名、開発メンバーとして登録されているのは、情報システム本部に所属する十数名の開発者である。
「内部統制に対応した開発者と運用担当者の分離、自動配布、運用フローの管理や本番ソースの一元管理など、汎用機で実施していた開発資源管理が、IBM i上でもほぼ同じレベルで実現できたのが最大の効果です」(上岡氏)
本番リリースはオンライン終了後の作業となるため、S/D Manager導入前は、どうしても残業や休日出勤が多かったようだ。しかしそれも、導入後は大幅に削減された。
さらにもう1つの大きな導入効果をもたらしているのが、S/D Managerのプレ本番環境である。
これは開発区画に、セキュリティで保護されたプレ本番環境を設定し、本番配布前の稼働テストを実施するもの。本番区画と同じ条件での最終稼働確認ができるため、本番リリース時のプログラム品質が大きく向上した。リリース後の手戻りも、かなり減少したという。
「S/D Managerの現行機能は有効活用していますが、今後はソースの変更記録や業務要件に関連したドキュメントの管理、複数ライブラリーへの対応、本番配布結果の監視といった機能について、ベンダーへ改善要望を出し、内部統制対応の強化や作業効率のさらなる改善に役立てていきたいと考えています」(上岡氏)
今年7月にも、大型システムをリリースした。引き続き同様の大型システム開発が続く計画なので、S/D Managerを利用する場面はさらに増えていきそうだ。
[i Magazine 2011年11月号掲載]*記事の内容は掲載当時のものです。