新東株式会社 ~受注内容確認書の自動Fax送信で顧客満足度を大きく向上

COMPANY PROFILE

設立 :1963年
本社 :愛知県高浜市
資本金:4億1290万円
売上高:54億9500万円(2020年6月)
従業員数:133名(2020年6月)
http://www.shintokawara.co.jp/

受注内容確認書を新たにFaxで自動送信

愛知県三河地方は江戸時代から、三州瓦の一大産地として知られる。全国には今、50近い瓦の生産地があると言われるが、全国出荷枚数の58%(約5億枚)を三州瓦が占めている。この地で採れる良質の天然堆積層粘土が、三州瓦の高品質の源である。

愛知県高浜市に本社を置く新東は、この三州瓦を製造・販売する瓦メーカーである。メインブランドは「CERAM(セラム)」。最近は日本家屋向けだけでなく、ヨーロッパ風のテイストを感じさせる瓦や地震に強い防災瓦、太陽光発電一体型の瓦など、多種多様な製品を提供している。

1998年に、それまでPCサーバーで個別運用していた基幹システムをAS/400に統合。現在は2010年に導入したPower 520上で、販売管理・生産管理・在庫管理・会計の各システムを運用している。

同社では昨年11月から、SaaS型のFaxサービスを利用した受注内容確認書の送信を開始した。満足度向上を実現する顧客サービスの新しいメニューとして、好評を得ている。

「電話やFax、あるいは営業担当者経由でお客様から受注をいただいた後、それに沿った受注内容確認書を送ってほしいという要望が、以前から寄せられていました。なかなか実現できずにいたのですが、昨年マシンを更新したのを機に、どのようなツールがあれば実現可能かを具体的に調査し始めました」と語るのは、営業本部受注課の伏見尚行課長である。

伏見 尚行氏
営業本部 受注課
課長

受注課には7名の課員が在籍するが、受注受付をはじめ、その追加・変更・キャンセルや各種の問い合わせで手一杯の状態だ。1日数百件の受注に対し、手作業で受注確認書をFax送信する余裕はまったくない。そこで何らかのツールを利用して、自動化できないかと検討を始めたのである。

選定対象となったのは、コクヨS&Tが提供するSaaS型の自動Faxサービス「@Tovas(あっととばす)」である。

まずIBM i側に、スプールデータをPDF化する「UT/400-iPDC」(アイエステクノポート)のモジュールを導入する。受注内容確認書は、UT/400-iPDCでPDF化した後、Fax送信の実行キーを押すと、インターネット経由で@Tovasサーバーへ送信される。そしてそこから住宅メーカーや建材問屋、屋根工事会社などの顧客先へFax送信される仕組みだ。 

これに対して、検討対象に挙がったもう1つのシステムは、オフィス複合機を利用するものであった。IBM i側からPCサーバーへいったん帳票データを送信し、自社に設置したオフィス複合機から自動的に顧客先にFax送信する仕組みである。

両者を比較した結果、@Tovasを採用した理由を、管理部システム課の早川正課長は次のように語る。

「当社ではシステム担当は私一人で、営業管理課長も兼任しています。運用管理の負荷を考慮すると、システムが複雑化するのは何としても避けたい。@Tovasの場合、UT/400-iPDCはIBM i上でのインストールが可能であり、PCサーバーを必要としないので、シンプルに構成できると考えました」

早川 正氏
管理部 システム課
課長

このほか5250画面上で送達管理を実行できる点や、Fax送信に要するコストの違いも重視された。

@Tovasの場合は1枚ごとの全国一律料金である。これに対して、オフィス複合機を利用する場合は通常の通信料金と同じであり、全国に取引先をもつ同社では遠隔地ほど高い通信料金となってしまう。1日数百件という受注量を考えると、このメリットは大きい。

オーバーレイ機能で
帳票を自由に変更

こうして、2010年9月に@Tovasの採用を正式決定。10月からサービスを開始した。 

受注内容確認書には、問い合わせ受注番号と出荷日、ハウスメーカー、社名、出荷場所、そして受注した商品コードおよび商品名、数量、「セラム君からのお知らせ」などが記入されている。

画面にはそれぞれの顧客への対応状況を考慮し、送信先には、(1)顧客、(2)運送会社、(3)顧客と運送会社、(4)同社、(5)送らないという5つの選択肢を設けている。(4)と(5)は受注後に内容の変更が生じた場合を考えてのことだ。送信の実行キーを押すと、上記の選択に応じて、宛先へ自動的にFaxを送信する。

外部へ依頼して、受注内容確認書の画面とフォーマットを作成して以降は、簡単なレイアウト修正や時節ごとの挨拶・案内文の変更などは、UT/400-iPDCのオーバーレイ機能を利用して伏見氏が、自身の手で行っている。

稼働後は顧客の評判もよく、納品ミスも大幅に減少した。毎年1回、2月に実施する顧客満足度調査では、電話の対応や納期の回答などの項目で、前年に比べポイントが大きく上昇した。

同社では今後、UT/400-iPDCを利用して帳票のPDF化の範囲を広げたいと考えており、どの業務で利用できるかを検討中である。まずは同じ仕組みで、今度は資材の発注書のFax送信で自動化する。また将来的には、帳票のPDFを進めてカット紙へのプリントアウトを可能にし、ドットプリンタをなくしてコスト削減につなげる計画のようだ。

[i Magazine 2011年8月号掲載]*記事の内容は掲載時のものです。

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